T-34/76 1942年型 国営第378オンダヴァラ・タミヤスキー工場生産型

 これは工場での生産型ではありません。基本はアメリカのアバディーン博物館にある、1943年にソ連から送られた車両と言われていますが、そもそも、その車両はノーマルな生産型ではありません、寄せ集め細工です。ただし現在モスクワにある保存車両に非常によく似ているため、1942年の当時にテストベッドとして使われて改修を重ねた車両であると思います。

<砲塔>
・砲塔は鋳造砲塔で、砲塔後面パネルが別部品となっている型です。右ペリスコープ穴は初めからないことからして、1942年春ごろのタイプです。ハッチは183工場で使われた、左右対称でないバルジのあるタイプになっています。
・主砲の駐退機カバーは六角砲塔に搭載されるタイプ(下面が曲面でないタイプ。)になっており、前線写真では、ピロシキ砲塔にこの駐退機カバーを搭載した例は1~2例しか見られません。修理改修型です。主砲照準器の視界を確保するために駐退器カバーにあるはずの溝がないのは完全なエラーです。

<車体>
・起動輪ギヤカバーがエッジの立っているタイプになっているが、これは183工場製の六角砲塔搭載型の1942年春の一部のロットだけで使われたものです。
・車体後上面パネルと後下面パネルの結合ヒンジは3つありますが、この部分の木口はキットでは凹んでいます。これはテストベッド車両、もしくは数が少なすぎて戦場写真では写らないほど少数のみの仕様です。タミヤのT-34系列すべての欠点です。
・車体後上面パネルの両脇ボルトは4個となっていること、ラジエターグリルと車体後上面パネルをつなぐヒンジの位置、車体後上面パネルと後下面パネルをつなぐヒンジの数と形状、前照灯が左側面にあることなどからして、1942年夏~1943年の183工場の特徴を持つ車体となっています。
・車体前面装甲板の中央上部(主砲直下)が凹んでいます。これも1942年のごく一部の生産車のみの仕様です。通常型は凹みはなく、装甲板はきれいに一直線です。タミヤのT-34系列すべての欠点です。
・車体前縁のおかしな牽引具はもちろん削除して埋める。w

<走行装置>
・走行装置は、ハチャメチャです。
・転輪は全て1940年型なので、183工場では1941年のみに使われた型式、112工場では1942年春まで使われた形式となります。
・誘導輪は1942年春のみに使われたものです。
・起動輪は1942年初期~1943年末まで使われた型です。
・キャタピラは1942年後半末期以降の型です。

 このキットを実車のいずれかに改造しようとすると、、、と言うか、単体では無理です。他のキットからの流用、ニコイチが必ず必要になります。
 ですので、修理改修型、もしくは実戦とは無縁な「設計局内テストベッド」のスケールモデルとして楽しむか、モーターを仕込んで走らせる「玩具」として楽しむのが一番正しい楽しみ方でしょう。

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