第二次大戦中のソ連軍 労農赤軍の階級章用兵科バッジ


 兵科バッジは、あくまでも兵科バッジです。兵種バッジではありません。各個人の技能を表すものではありませんので、注意してください。(最初は私は階級章の色で兵科を、バッジで兵種を表すと思っていましたが、それは間違いです。)

注:バッジの大きさがバラバラです、適当です。

Введена приказом НКО СССР № 33 от 10 марта 1936 года
1936年3月10日付け軍令33号

 兵科バッジ改定。25個を17個に統廃合。獣医以外のバッジはすべて金色。

  戦車兵     技師   航空兵   鉄道兵    砲兵   輸送兵   通信兵


  工兵   軍医  獣医 化学防護兵 建設工兵 軍楽兵  管理兵  法務兵

  
架橋工兵  電気工兵

Введена приказом НКО СССР № 165 от 31 августа 1936 года
1936年8月31日付け軍令165号

上記の鉄道兵を廃止しVOSOに改定

軍事交通兵(VOSO)

Введена приказом НКО СССР № 93 от 30 марта 1942 года
1942年3月30日付け軍令93号

上記の管理兵を廃止し軍需兵に改定

 軍需兵

Введена приказом НКО СССР № 121 от 12 апреля 1942 года
1942年4月12日付け軍令121号

上記の技術兵から航空技術兵を分離新設

 航空技術兵

Введена приказом НКО СССР № 25 от 15 января 1943 года
1943年1月15日付け軍令25号

 上記軍令をすべて廃止。新たに次のとおりとする旨。
 なお、戦列兵は銀色(アルミ製または真鍮に銀色塗装が多いです。)、技官は金色(普通は真鍮製です。)と規定。(技師、法務兵、軍需兵、航空技術兵は戦列兵が存在しないので金色のみ。軍楽も金色のみという話がありますが、個人的に疑問なので調査中です。)
 また、軍医は金色、獣医は銀色。

  戦車兵    技師     砲兵  自動車兵  通信兵    工兵   軍医  獣医


化学防護兵 建設工兵 軍楽兵  法務兵   軍需兵   航空兵    航空技術兵 

  
 軍事交通兵      騎兵

 実際には戦列兵でも真鍮地(金色)の兵科バッジをつけている例は多いです。しかしその場合でも、階級章の星は銀色です。

Введена приказом НКО СССР № 115 от 1 марта 1943 года
1943年3月1日付け軍令115号


上記の化学防護兵バッジを廃止し、技術兵と同デザインの銀色に改定。(意味不明ですな。(笑))

 化学防護兵

Введена приказом НКО СССР № 257 от 22 июня 1943 года
1943年6月22日付け軍令257号


地勢(測量)兵のバッジを制定。

 地勢兵

Введена приказом НКО СССР № 310 от 12 ноября 1943 года
1943年11月12日付け軍令310号


道路工兵のバッジを制定。

 道路工兵



 全般を通して、注意すべきは、歩兵の兵科バッジがないことです。

 なぜ歩兵のバッジが制定されなかったかについては、現代の旧ソ連諸国の間でも大いに議論となっていて、結論が出ていないようです。事実としては、一度も制定された痕跡がないが、現実に存在し、1943年以前の歩兵の階級章には必ずついていた、ということです。1943年以降は、軍令どおり、一切つけなくなった、ということです。
 もう少し詳しく説明すると、1922年の軍令では違ったデザインのものが制定されたんですが、1924年に早々と廃止されました。その後は歩兵のバッジは一切制定されませんでした。しかし1940年の階級の改定時に出された、階級章を図示した参考図書には、少尉や中尉の階級章の星の数を説明した図に、さりげなく歩兵のバッジがついているので、軍当局自身も歩兵バッジを認めていることが分かります。しかし、他の兵種と大幅に違う、白と赤のエナメルまで使用するようなデザインを、いつ誰が生み出したのかは、現在の旧ソ連諸国のネット上でもいまだにナゾとされています。(1922年のバッジはデザインも全然違うし、もちろん他と同じでエナメルなんぞ使用していない。)

 また、騎兵についても、歩兵と同様に2年で消滅しましたが、1943年の改定で復活しています。けれども事実としては、騎兵も戦後に至るまで一貫して騎兵バッジをつけていました。

 なぜなんでしょうか?他の兵種のようになんらかの専門知識があるのではなく、歩兵と騎兵は銃で戦うしか脳のない兵隊だからバッジは不要と判断されたのでしょうかねえ。(銃を扱えるのは兵隊一般としてあたりまえ、馬に乗れるのも当時としては男としてあたりまえ、つまり特殊技能なし、ということでしょうか。)もしくは、砲兵と戦車、各種工兵などは、襟章の色だけでは兵科が分からないから、兵科バッジを制定したのでしょうか。でもそうすると、歩兵、騎兵はいいとして、航空もバッジの必要がない気がしますけど。
 まあそもそも、ソビエト人のすることは、ドイツ人ほど合理的ではないですけどね。



技官のバッジのイレギュラーな使用例
       
砲兵技官(大砲技師)正規   イレギュラー(カッコいい大砲のバッジをつかたかったのでしょう。)

       
戦車技官(戦車技師)正規   イレギュラー(カッコいい戦車のバッジをつかたかったのでしょう。)

       
輸送技官(自動車技師)正規  イレギュラー(金槌とレンチのバッジでは納得いかないのでしょう。)

       
架橋工兵正規         イレギュラー(旧バッジ装着。架橋のプロとしてのプライドでしょう。)



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